男のコラム

毎週火曜日更新

このコラムは、タケタリーノ山口が己の魂の叫びを2003年に書いていたものです

第13回

俺の実家の目の前には公園がある。
子供がいつでも外で遊べるようにという両親の方針で、俺が3才の時に引っ越してきた。
だから俺は小さい頃、いつも公園にいた。
ちょっとした野球のできるグラウンド、ブランコ、すべり台、砂場、鉄棒、そして俺。
ある意味、俺自身が遊具の一部となっていた。
実際に、昼間家に帰るのは、友達とかくれんぼをしている時ぐらいのものだった。
まだ、幼稚園の年長だったある日、俺がブランコに乗っていると、小学校一年生の近所の女の子が、
「すごい技を見せてあげるよ」
と言って、ブランコにまたがり、がむしゃらに漕ぎ始めた。
そして、最大に揺れる位置まできた時、ブランコの上に立ち上がり、
「それ~」
と言って、ジャンプした。
その瞬間、スローモーションのようにスカートがひらひら。
おもむろにパンティが見えた。
いや、まだパンティと言うには幼い為、パンツッツとでも言うべきか。
俺は、
「おおっ」
と言い、女の子の尻を目で殺した。
しかし、次の瞬間、女の子は着地しようとした足をザーっとすべらせ、顔面から地面に落ちた。
俺はまたしても、
「おおっ」
と言い、女の子の様子を伺った。
すると、女の子は痛々しく立ち上がり、
「ね、すごい技でしょ」
と言って、まるで成功者のような顔をした。
俺はやっぱり
「おおっ」
と言い、女の子のプライドの高さに脱帽した。
子供の頃、大人になれば何でもできると思っていたが、俺は未だに、その技ができないでいる。
ブランコを見ると思い出す、夏の日の出来事だった。