男のコラム

毎週火曜日更新

このコラムは、タケタリーノ山口が己の魂の叫びを2003年に書いていたものです

第10回

先日、電車の中で、
「もし、自分の人生にリセットボタンがあるとしたら、いつに戻りたい?」
なんて話で盛り上がってる連中がいた。
もし、俺がそんな質問をされたら、間違いなく、今、その質問をされる前に戻りたいと答える。
なぜなら、そんな事を考えるのは時間の無駄だから。
でも、人知れず考えてみた。
いつに戻りたいのか?
そう、俺は親父の体内に溜まっていた頃の精子に戻りたい。
そこは、何億という数のライバル達が、神経を研ぎ澄まし、来るべき出撃の時を待っている。
そして、親父の
「イクッ!」
という号砲とともに、一斉にお袋の膣内を掻きむしる。
まさに、生まれる為に生死を賭けたレース。
というか、お袋に精子をかけたレース。
もちろん、そこに八百長などはなく、距離にして八百メートルもない。
結論から言う。
俺は親父の「イクッ」という声をもう一回聞きたい。
二度と聞く事の出来ない親父の喘ぎ声。
近いようで遠い存在の親父の喘ぎ声。
冷静と情熱のあいだの親父の喘ぎ声。
親父の喘ぎ声・・・・・・。
それを耳にするのは、乳首にハンガーを引っ掛けるより難しい。