男のコラム

毎週火曜日更新

このコラムは、タケタリーノ山口が己の魂の叫びを2003年に書いていたものです

第35回

俺は凄く寝付きが良い。
なぜなら、俺は極限まで眠たくならないと布団に入らないからだ。
眠くて眠くて仕方がなくなり
「だめだぁ、もう起きてられねぇ」
と口に出さずにはいられなくなる程の精神状態にまで自分を追い込んでから布団に入る。
次の日、どんなに朝が早くても、眠くなければひたすら無駄に起きてる。
だから一度寝たら夜中に起きる事などなく、目覚まし時計が鳴るまで完全に熟睡する。
気持ちいい。
一片のわだかまりもない。
口は臭い。
だから、俺は今まで、布団に入っているのに眠れないという経験をした事がなかった。
しかし、その日は突然にやって来た。
そう、俺は一昨日初めて布団に入っているのに眠れないという経験をしてしまった。
一昨日の夜、俺はいつものように
「眠てぇ、限界とっくに超えてんだろぉーがぁ」
と口に出さずにはいられなくなる程の精神状態にまで自分をたっぷり追い込み、布団に入った。
やっと寝れる。
布団のぬくもりに染み込む。
口は臭い。
いつも通りの順調な睡眠への滑り出し、いや、睡眠への眠り出しだった。
深い暗闇が柔らかく包み込む。
しかし・・・。
しかし次の瞬間、
パッチリー。
お目々がパッチパチに覚めてしまったのだ。
分からない。理由は分からない。
何かの歯車が完全に壊れたのだ。
そして、唐突にいくつかの過去の映像が俺の脳裏にフラッシュバックしてきたのだ。
スコーンスコーンと容赦なく映し出される記憶のパズル。
俺は何か頭の中がモンモンしてきた。
言葉でうまく表現できないが、頭の中がモンモンしてきた。
俺はこの状況を分かり易く、そして詳しく聞いてもらおうと、友達に電話してみた。
すると、それはモンモン病だと言われた。
そう、俺はモンモン病にかかってしまったのだ。
いい年した俺はモンモン病にかかってしまったのだ。
しかし、そうと分かったら、俺はあえてそのモンモン病に立ち向かってやろうと真っ向勝負を挑んだ。
フラッシュバックする記憶のパズルを必死に組み合わせた。
滑稽だった。
今の自分が映し出された。
モンモン病に立ち向かった俺は、モンモンしながら一昨日から現在まで64時間起き続けている。