男のコラム

毎週火曜日更新

このコラムは、タケタリーノ山口が己の魂の叫びを2003年に書いていたものです

第1回

駅の自動改札口で、前の奴が「キンコンキンコン」なんて流れを止めてやがると、コノヤロー!
イライラしちゃいますよねぇ~。まじで。
ドミノ倒しで、何故か倒れないドミノがあった時ぐらい頭にくるぜ。やった事ねーけど。コラ!
許される事なら、コノヤロー!
うしろから髪の毛グシャグシャにしてやりたいぜ。
つむじが逆回転してしまう程に・・・。
ハゲちゃってる奴だったらビロビロ~!
つむじがあったであろう場所にニップレスでも貼って恥ずかしいポーズしてもらいたいぜ。
グラビアアイドルが真似できない程の・・・。
この前もいたぜぇ。
そういう鈍くさい奴がよぉ。
うしろからしか見てないのに、何と無く顔のイメージが想像できちゃうオヤジ。
早く精算機、もしくは駅員に助けを求めやがれぇ!!
さもないと、俺が首根っこ掴んで、傷つけて、ツバひっかけちゃうぞ!
などと思っているのに、なかなかどかない。
俺のイラ立ちも体の容積率をいっぱいいっぱいまで使い切り、あふれ出そうになった時、ふと、そのオヤジの手元を見たら、切符通す所に1万円札を突っ込んでやがった。
紙類としては切符よりはるかに位の高い1万円札は、「俺を甘く見るんじゃねぇ」と言っているかのように、もちろん、そこには入らない。
ドミノ倒しで一番最初のドミノと一番最後のドミノが同じ倒れるにしても喜ばれ方が全く違うように。やった事ねーよ、コラ!
同じ紙類でも、身分が違うんじゃいと言わんばかりにかたくなに入るのを拒んでいた。
その様子を見た瞬間、俺のイラ立ちは、まるで排便を済ませた後のようにすっきり、そして、すっかり体から流れていった。
そして違う感情がメラメラと押し寄せてきちまった。
というか、違う感情がイラ立ちを、いとも簡単に寄り切っちまった。
変な奴見~っけ!!
うれしい。
久々に変な奴を見付けちまったぜ。
犬も歩けば棒にあたる。
棒はそんなに落ちてない。
このオヤジは、今までどうやって生きてきたんだろう?
毎回それやっているのか?
幸せですか?
俺の中に数々の疑問が沸きあがってきた。
このオヤジを深く知りたい。
その後、そのオヤジの現在、過去、未来、趣味、うんこ、ホクロの数、よがり声、うんこ、そしてまたうんこ。
と、さんざん頭の中で想像して楽しませてもらったぜ。
バカと天才は紙一重。
イラ立ちと笑いも紙一重。
ドミノも紙一重。やってみようかな、コラ!
などと思った日だったぜ、バカヤロー!